「食べものが育つ過程」を知ると、子どもの好き嫌いはどう変わるか

「うちの子、ピーマンだけはどうしても食べない」。保護者の方からよく聞く悩みです。細かく刻んで混ぜる、味を濃くする、好きなおかずと一緒に出す。工夫を重ねても、なかなか手ごわい。

一方で、畑に来たお子さんが、その場でもいだ野菜を平気で口にする場面を、私たちは何度も見てきました。家では食べないはずの野菜を、です。この違いはどこから来るのでしょうか。

「知らないもの」への警戒は自然な反応

子どもが特定の食べものを嫌がる背景には、味だけでなく「知らないものを口に入れたくない」という警戒心があります。これは生きものとして自然な反応で、しつけの問題ではありません。

スーパーで買われてきて、切られて、皿にのっている野菜は、子どもにとっては素性のわからないものです。どこから来たのか、どうやってできたのか、手がかりがない。

ところが、自分が種をまいて、水をやって、育つのを見て、自分の手でもいだ野菜には、その手がかりがすべてあります。知らないものではなく、知っているものになる。ここが決定的に違います。

畑で起きていること

過程が体験になる

種をまいてから収穫まで、作物によっては数か月かかります。芽が出ない日もあれば、虫に食われる日もある。うまくいかない時期を挟むからこそ、実がついたときの印象が強く残ります。

「食べものは大切に」と言葉で伝えるより、時間をかけて育つのを見たほうが早い。食育という言葉が指しているのは、おそらくこういうことです。

自分でもいだという事実

収穫はお子さんにとって、その日いちばんの出来事になります。自分で選び、自分の手で取った。この「自分の」という感覚が、口に入れる抵抗をずいぶん下げます。

その場で食べるという体験

もいだばかりのトマトやきゅうりは、家で食べるものと味も温度も違います。太陽で温まっていて、皮が張っていて、においが強い。おいしいと感じた記憶は、その野菜そのものへの印象を書き換えます。

家庭で続けるためのヒント

農業体験は一度きりでも意味がありますが、家庭で続けられることもあります。

プランターひとつからミニトマト、ラディッシュ、小松菜など、育つのが早いものが向いています。収穫までが短いほど、子どもの興味が続きます。
水やりを任せる毎日の担当を持たせると、自分の作物という意識が生まれます。多少枯らしても構いません。
料理の下ごしらえを一緒にもぐ、ちぎる、洗う。包丁を使わない工程だけでも、関わった実感が変わります。
旬を伝える「これはいまがいちばんおいしい時期」と一言添えるだけで、食卓の会話が変わります。

うまくいかない年もあります。虫にやられたり、実がつかなかったり。それも含めて、食べものが当たり前に手に入るものではないと知る機会になります。

無理に食べさせないこと

ひとつだけ、注意していただきたいことがあります。

「せっかく育てたのだから食べなさい」と迫ると、体験そのものが嫌なものになります。育てるのは楽しかったのに、最後に叱られた。そうなると次はありません。

その日食べられなくても構いません。育てた記憶は残ります。数か月後、あるいは数年後に、ふとした場面で口にすることがあります。畑での体験は、そのくらいの時間軸で効いてくるものだと考えています。

親子で畑に来てみませんか

お住まいの自治体や地域の農園で、親子で参加できる収穫体験が開かれていることがあります。まずは一度、土に触れる機会をつくってみてください。

また当社は、地域の学校給食へ野菜をお届けしています。子どもたちが毎日口にするものだからこそ、つくり手の顔が見える野菜を届けたいと考えています。

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